「うちの子の作文、なんだか話がつながっていない気がして…」
「文は書けているのに、読んでも意味が伝わりにくいんです」
そんな声を、保護者の方からよく耳にします。
実は、こうした 「読みづらさ」 の大きな原因は、「つなぎ言葉」 がうまく使えていないことにあります。
「だから」 「しかし」 「なぜなら」 などのつなぎ言葉は、文と文をつなぐ 「橋」 のような役割を果たします。
この橋がないと、子どもの作文はぶつ切りになり、読み手が内容の流れをつかみにくくなってしまうのです。
今回は、そんな 「つなぎ言葉」 を上手に使うためのポイントと、家庭で無理なく取り組めるトレーニング法をご紹介します。
つなぎ言葉とは、「だから」 「でも」 「なぜなら」 「それとも」 など、前後の文の関係をはっきりさせる言葉です。文章と文章の 「つながり」 を示してくれる大切な役割を持っています。
例えば、
「テストがあるので一生けんめい勉強した。だから、90点だった。」
→ 勉強した結果が出てよかった、という満足感や達成感を伝えています。
「テストがあるので一生けんめい勉強した。しかし、90点だった。」
→ 目標がもっと高かった、悔しさや残念な気持ちがにじみ出ています。
同じ 「90点」 でも、「だから」 か 「しかし」 かによって、伝わってくる気持ちの温度や意味合いが大きく変わることがわかりますね。
つまり、つなぎ言葉はただ文をつなぐだけでなく、「どうしてそうなったのか」 「どう感じているのか」 といった 「背景や気持ち」 を読み手に届ける大事な手がかりになります。
作文を読みやすく、そして伝わりやすくするためには、この 「つなぎの一言」 がとても重要なのです。
つなぎ言葉の大切さがわかっても、いきなり 「文章に使ってみよう」 と言われると、子どもは戸惑ってしまいます。そんなときは、遊び感覚で取り組めるトレーニングから始めてみましょう。
ここでは、ご家庭でのちょっとした会話ややりとりの中でも実践できる、「つなぎ言葉」 を使った2つの練習方法をご紹介します。
● ステップ① : つなぎ言葉を変えて、文章の印象をくらべよう
まずは一つの文に対して、いろいろなつなぎ言葉を当てはめてみましょう。
例えば、「公園で友だちを待っていました。」 という文をもとに…
① でも、友だちはなかなか来ませんでした。
② すると、友だちはやくそくの時間より早く来ました。
③ なぜなら、いっしょに遊ぶやくそくをしていたからです。
このように、つなぎ言葉を変えるだけで、状況の見え方や話の流れ、印象ががらっと変わることがわかります。
「言葉の選び方ひとつで、こんなにも伝え方が変わるんだ!」 という気づきは、作文力だけでなく思考力や表現力の基礎づくりにもつながります。
● ステップ② : 「だから」 「しかし」 で気持ちを表現してみよう
つなぎ言葉の中でも、特に感情を表しやすいのが 「だから」 と 「しかし」 です。
この2つを使って、感情の 「違い」 を言葉にする練習をしてみましょう。
例 : 全力で走った。
✔ だからバスに乗れた。 【ああ、よかった】
✔ しかしバスに乗れなかった。 【もう少しだったのにくやしい】
同じ行動でも、つなぎ言葉が違うだけで、伝わる気持ちがまったく変わります。
「だから/うれしい」 「しかし/くやしい」 といったセットで書く練習をすることで、出来事と気持ちの関係を言葉で表現する力が育っていきます。
前章では、つなぎ言葉の基礎練習として、身近な例文を使った文づくりをご紹介しました。
ここではさらに一歩進んで、日常会話の中で自然にできる 「親子のやりとり」 を通したトレーニングをご紹介します。
作文練習と聞くと、机に向かって黙々と書くイメージがあるかもしれませんが、実は日常の何気ない会話の中に 「書く力」 の芽はたくさん隠れているんです。
■ こんな声かけが、つなぎ言葉の理解を深めるきっかけに!
例えば、次のような質問をしてみてください:
✔ ◯◯ちゃんがうれしかったとき、「だから」を使って言ってみるとどうなる?
✔「しかし」 って、どんなときに使いたくなるかな?
✔「なぜなら」 を使って、理由を説明できることって何かある?
✔「すると」 って言ったら、どんな展開が思い浮かぶ?
こうした問いかけを通じて、子どもは言葉と気持ち・出来事のつながりを考えるようになります。
■ 二文作文ごっこで文章の流れを体感!
さらに、親子で会話しながら 「二文作文ごっこ」 をしてみるのもおすすめです。
親 : 〇〇した。だから〇〇した。って言ってみて?
子 : きのう早く寝た。だから、あさ元気だった!
親 : じゃあ 「しかし」 だったら?
子 : きのう早く寝た。しかし、夜中に目がさめた!
このように、1つのエピソードを、つなぎ言葉を変えて何通りも表現してみることで、子どもは文章の 「つながり方」 の違いや感情の伝え方を体感的に学んでいきます。
■ ポイントは 「正解を求めない」 「共感して返す」 こと
この練習で大切なのは、「正しく言えること」 よりも 「自分の言葉で考えること」 です。
子どもが言葉にした内容に対しては、ぜひこんなリアクションを返してみてください:
✔ その 「だから」、すごくわかりやすいね!
✔「しかし」 って入れると、ちょっとくやしそうに聞こえるね
✔ 気持ちをちゃんと伝えられていて、いい文になってるよ!
こうした共感や肯定の声かけが、子どもの 「書いてみよう」 「話してみよう」 という意欲をぐっと引き出してくれます。
このように、つなぎ言葉の理解は日常のちょっとした工夫で育てることができるものです。
「文を書く力」 は、実は 「ことばで話す力」 とつながっている。そう意識して親子で取り組んでいくと、楽しみながら 「伝える力」 が育っていきます。
「書けてはいるんだけど、なんだか読みづらい」
「がんばって書いたのに、内容が伝わってこない気がする…」
そんなときは、お子さまの 「つながりの言葉」 の力が、まだ育ち途中なのかもしれません。
◆ 小学生の作文のつまずきは 「つなぎ方」 に出る
文部科学省が公表した全国学力・学習状況調査 (2023年) でも、子どもたちの記述式問題でのつまずきの一因として、「文と文の論理的なつながりが不十分」 であることが挙げられています。
つまり、子どもたちは 「ひとつの文」 は書けるようになってきていても、それをどうつなげて展開させるかがまだ難しい段階にある、ということです。
これは決して能力が足りないわけではありません。
「つなぐ力」 = 経験を通じて育っていくスキルなのです。
◆ 「だから」 「しかし」 で育つ 「考える力」 と 「感じる力」
国立国語研究所の語彙調査 (2020年) では、つなぎ言葉 (接続語) を使いこなしている子どもほど、作文の一貫性や説得力が高く評価される傾向があることが示されています。
例えば、
●「だから」 は、原因と結果を結びつけて考える力
●「しかし」 は、自分の思いと現実を比較し、感情を整理する力
を育ててくれます。
これは、単に作文が上手になるだけでなく、「自分の気持ちをどう伝えるか」 「相手にどう説明するか」 といった 「対話力」 にもつながるのです。
◆ 保護者の方に知っておいてほしいこと
作文に限らず、子どもが 「うまく言えない」 「書いてもうまく伝わらない」 と感じているとき、それは 「言葉のつなぎ目」 が見えていないサインかもしれません。
だからこそ、
日常会話の中で 「それでどうしたの?」 「じゃあ、どう思ったの?」 と 「つなぎ」 を意識した声かけ
「それは 「だから」? それとも 「でも」?」 「気持ちはどうだった?」 と感情に結びつけて言葉を引き出す工夫が、作文の力だけでなく、子どもの思考や表現全体の育ちに大きな効果をもたらします。
◆ 書く力 = つなぐ力。今、土台を育てるとき
「つなぎ言葉」 は、文章を上手につなげるだけでなく、「伝わる力」 を育てる入口です。
論理性や語彙力はすぐには身につきませんが、今のうちから少しずつ 「つながり」 を意識した書き方を練習していけば、
● 考えを順序立てて伝えられる
● 感情や理由を整理して伝えられる
そんな 「芯のある表現」 ができるようになります。
子どもが 「作文が苦手」 と感じたとき、保護者が悩むのは 「どうサポートしたらいいか」 ではないでしょうか。そんな声に応えるのが、小学生向け作文通信教育講座 『ブンブンどりむ』 です。
■ つなぎ言葉の使い方も、しっかり学べる
「だから」 「しかし」 「なぜなら」 など、つなぎ言葉の使い分けを、楽しく ・ 自然に学べる教材構成。身近な例を使って、自分の気持ちを言葉で表現する力が育ちます。
■ 「ステップ式」 だから、書けない子でも大丈夫
短文から始めて、少しずつ書く力を積み上げるステップ学習。理由や気持ちを加える工夫も無理なく学べます。
■ 添削つきで、自信が育つ
講師の丁寧なフィードバックが届くので、
●「伝わった!」 という実感
●「もっと書いてみよう」 という意欲
につながります。
保護者が教えなくても、子ども自身が 「書けた」 を実感できる仕組みです。
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