子育て中の親にとって、子どもの学力はとても気になるところです。どのような学力を身につけてあげるべきなのか思い悩むこともあるのではないでしょうか。今回は、ブンブンぱぁとなぁWEBの中から、子どもたちに必要な学力についての齋藤先生のお話の一部を紹介します。
2020年前後から小中高等学校へ新学習指導要領が導入されて、これからの「新しい学力」を養うことになりました。その柱は、「思考力」「判断力」「表現力」の三つです。自分の頭で考えて、判断し、表現していくということです。学習のあり方としては「主体的」「対話的」「深い学び」の三つが目標になっています。
自分で積極的に動くのが「主体的」。他の人と話し合ったり、お互いにアイデアを出し合ったりして協力し合うのが「対話的」。そして、深い研究心、探求心をもって勉強するのが「深い学び」です。
この3点が、思考力・判断力・表現力の3点とともに、日本がこれから目指そうとしている「新しい学力」というものです。
小中高等学校で身につけるべき力として、思考力・判断力・表現力を、授業で積極的に育てるのはいいことだと思います。しかし、これまでのような、今まで先人が培ってきた学問をしっかりと身につける「伝統的な学力」もとても大事です。
例えば、「考える」といっても、世界史について何も知らなければ、歴史について考えることはできないし、ニュートン物理学を知らないで物理について考えることはできません。その学問をしっかり身につけて記憶する、そうして初めて「考える」ことができるのです。ですから、伝統的な学力は非常に大切です。
これからは暗記ばかりではなく、新しいものを生み出す創造性が必要だといわれることがありますが、これはちょっと危険な論説だと思われます。
実際に大学で教えていると、受験勉強をして伝統的な暗記などをしてきた学生のほうがクリエイティブでもある、という実感があります。ある大学の調査でも、実際にそのような結果が出ています。
一見、個性的な方法で入試をしたほうが、その後クリエイティブな能力が発揮できる学生が来る、と思いがちですが、実はいままでのような暗記中心の勉強で入試を通ってきた学生のほうが、クリエイティブな能力は高かったという皮肉な調査結果が出てしまったのです。
つまり、子どもたちに必要な学力は、学んで記憶して知識を身につけていくといった「伝統的な学力」と、自分の頭で考えて判断し表現していくといった「新しい学力」の両方だということです。右手に「伝統的な学力」を、左手にアイデアを生み出す力と表現力という「新しい学力」を、そしてその両手でがっちりものをつかむ、というイメージでいいのではないかと思います。
いかがでしたか。
小学校で新学習指導要領が実施されて、4年目に入りました。
子どもたちに必要な学力について、日頃から整理しておきたいですね。
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