【本を読んでもらいたいのですが……】~菅原裕子先生「お悩みパパ・ママ 子育て相談」から~

【本を読んでもらいたいのですが……】~菅原裕子先生「お悩みパパ・ママ 子育て相談」から~

「ブンブンどりむ」では毎月、会員のみなさまの子育ての悩みに対し「お悩みパパ&ママ 子育て相談」と題して、コーチングの専門家である菅原裕子先生にお答えいただいています。
ブンブンぱぁとなぁWEBの中に収録されているお悩みの中から、よく読まれるものをこちらでもご紹介いたします。

★今回ご紹介のお悩み★
本を読んでもらいたいのですが……。

小5の息子に、私が子どもの頃好きだった本を読ませたいのですが、なにかいい方法はないでしょうか?
書店や図書館で、なにげなく「これおもしろいよ」とすすめても、興味を示してくれません。私が子どもの頃にワクワクした感動を、子どもにも体験してもらいたいです。さりげなく、子どもの興味をひく方法などないでしょうか?

菅原先生のご回答

本の利用価値が伝わるよう、お子さんと本との出会いの環境を整えましょう。

 子どもが膝に乗るほど小さい頃なら、読み聞かせをすることで本への興味を導けるかもしれません。小学校も低学年までなら、少し長い物語を寝る前に少しずつ読み進めて、読書の楽しさを伝える方法もあります。ですが、それをすれば必ず読書好きになるとは限りません。親なりに手を尽くしてきたけれど、その甲斐なく本に興味を示さない子に育った、ということもあるでしょう。そして思春期にもなると、もう親の読み聞かせには付き合ってくれません。そんなとき、子どもに本を読んでもらうには、どうしたらよいのでしょうか。

親が読書する姿を見せましょう

 まずは、子どもに身につけてほしいと思う習慣を、親が身につけましょう。親が読書する姿を見せることです。図書館で本を借りてきて、熱心に読んでください。夕食後のちょっとした時間に、テレビをつけるのではなく、本を手に取ってください。ちょっとした空き時間のために、スマホではなく、本を持ち歩きましょう(もちろん、電子書籍でも構いません)。本は面白く、熱中できるものだということ、人生の中に取り入れる価値のあるものだということを、暮らしの中で示していきます。子どもが読むかどうかにかかわらず、親自身が、本のある生活を送っていきましょう。一緒に暮らしていれば自然と、子どもの読書環境も整っていきます。

子どもの好みを探りましょう

 それから、子どもの好みを探ってみましょう。親の好きな本を、子どもも同じように好きになるとは限りません。どこを入口としたら良いか、探してみましょう。本屋や図書館に一緒に行くチャンスがあるなら、それを続けましょう。そして、子どものおすすめを聞いてください。親はファンタジーが好きでも、子どもは歴史ものが好きかもしれません。子どもは、どんな話が好きでしょうか。もし思いつかないようなら、今まで教科書で読んできた中で、どんな話が印象に残っているか聞いてみてください。子どもが好きな話の共通点は何でしょう。フィクションかノンフィクションか、舞台はどこか、主人公は誰か……。
 もし子どもが、活字を読むことに対してあまり積極的でないなら、読書を押しつけることで、かえって苦手意識を持たせてしまうかもしれません。そんなときは、本以外のものの力も借りましょう。物語に没頭するワクワク感を味わってほしいなら、映画やマンガも良いかもしれません。ぜひ親子で一緒に楽しめるものを探してください。想像力を使ってほしいと願うなら、絵本や画集もおすすめです。図鑑のようなものをパラパラめくるのも楽しいものです。子どもの中に、物語を愛する気持ちや、想像力を育てていきましょう。いつか子どもが本を手に取ったとき、その良さを十分に受け取るための準備になります。

調べる習慣をつけましょう

 そして、活字に親しんでいくために、調べ物の習慣を提案します。夏休みの自由研究として何かを調べるというような、フォーマルな「調べ物」だけではありません。たとえば、動物園に行くために、餌やりやふれあいイベントの時間を動物園のホームページで確認して、一番楽しめる段取りを考えておくというのも、立派な調べ物です。子どもが行きたい場所があれば、それがどんな場所で、どうすれば行けるのか、見どころは何か、下調べしてもらいましょう。テレビを見ていてわからない言葉が出てきたら、辞書で調べたり、インターネットで検索したりします。「何だろう?」「わからないぞ」と、調べるという行動をしっかり関係づけます。そして、調べた内容を、子どもに教えてもらってください。「それってどういうこと?」「○○とは何が違うの?」と、問いかけてください。アウトプットすることで、まだわからないこと、他に知りたいことが出てきます。子ども自身が、もっと詳しく知りたい、もっと正確に知りたいとなったとき、生活の中に本があれば、自然と「本で調べる」という選択肢も出てきます。

 そこまでしても子どもは、自分から進んで読書をするようにはならないかもしれません。ですが、物語を楽しみ、絵や写真を眺めることを楽しみ、調べ物をする習慣を持っていて、本の利用価値を理解しているのであれば、必ずしも読書にこだわる必要はないのではないでしょうか。子どもに本を読んでもらいたいと思ったとき、親が期待することは何でしょう。そのために必要な種をまき、子どもと本の出会いが豊かなものになるよう、環境を整えていきましょう。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

冬休みも始まって、「長い休みの間に読書週間を!」と思っている保護者様も多いかもしれません。

子育てをしている保護者様のヒントとなることがあれば幸いです。

「ブンブンどりむ」保護者さま向け情報誌で好評連載中の菅原裕子先生の「子育て相談」。

バックナンバーは、ブンブンぱぁとなぁWEBでもご覧になれます。

 

※画像は「イラストAC えびてんさんより」

 

小学生向け通信教育講座「ブンブンどりむ」

ブンブンどりむ編集部

『ブンブンどりむ』は、「マンガ形式の学びやすいテキスト」と「30年の実績ある、ほめて伸ばす添削指導」で、お子さまたちがこれからの社会で求められる「書く力」「考える力」を基礎から育み、ぐんぐん伸ばします。

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